漆の特徴について

 

漆の最大の魅力はその漆黒の深さと手触り、それに独特の風合いですが、最大の弱点は「皮膚炎症」(かぶれると痒みを伴う」に有ります。
皮膚の弱い方、アレルギー反応の有る方は漆器を見ただけで皮膚がただれてくる事が有りますので、注意が必要になります。

また酒や紅茶などその香りを楽しむ嗜好品を注ぐ器としては不適切かも知れませんが、熱を遮断する木製漆器の柔らかい感触は、アレルギー反応が無ければ、お子様の食器としての用途にも適しています。

そして漆器の特徴として「乾燥方法」が有りますが、基本的に漆器は湿度と温度で硬化し、それから何十年とかけて中の水分を放出しながら劣化して行きます。
この為、漆の乾燥方法は2種類が発生し、一つは適温湿度乾燥、そしてもう一つは100度以上の温度をかけて瞬間乾燥させる「焼付け乾燥」が有り、近年発生してきた「合成漆」や「近代漆器」は「天然漆」が使用されていない事から「通気温度乾燥」になります。

更に漆と言えば「取扱いが難しい」とお考えの方も多いと思いますが、実は有る程度の期間(塗り上がりから3ヶ月以上)経過した漆塗膜は、亀の子たわしくらいで洗っても傷が入る事は無いのが普通です。

全世界で漆の仲間となる木の種類はおよそ800種有り、その多くが熱帯から温帯地方に分布し、一般的に温かい地方で採取される漆はゴム質が多くなり、温帯地方の漆はウルシオールを多く含みますが、漆器は総合形成塗膜で有る事から、その用途や必要強度を鑑みるならどれが良いと言う判断は出来ず、その地方で採取される漆が同じ地域で使用される事が一番ですが、現在日本の漆器で天然漆の表示が為される漆器の97%以上は中国、城口(じょうこう)などで採取された漆が使われています。